平成最後の冬、最後の年末、日本人にとってはかけがえなく大きく大切なものだとわたくしチワワドラは考えています。この時代に生きている、存在している、存在したことの証なのですから、そんな最後の12月の最後の記事、やはり日本の映画やテレビドラマにもっとも幅広く、深く数多く貢献した”あの男で大トリを飾る”ことになりました。
15年ぶりに視聴した『
非情のライセンス』第1シリーズの40話「凶悪の望郷」は15年ぶりくらいに視聴しまたが実に素晴らしい回でした。ゲストの個性を最大限に活かし、見せたい部分をきちんと見せ、展開が読めても楽しめる、よけるからこそよい、清清しさ、今や展開の見えない視聴者への煽りやハラハラばかりで描くことのほうが安易で安っぽいからです。展開の引っぱり芸中心などアメリカの真似程度にほかなりません。
テレビドラマ1話分の44分ほどの内容(『
非情のライセンス』第1シリーズ40話「凶悪の望郷」の劇中分数)で描けることには限度があります。だから多くの深みや重複製はこの短時間、1時間弱の劇中分数の中で大きな鍵となります。ドラマファンでなければただ視聴しただけ、一時的な娯楽として特色や重要な部分を見逃しがちだからです。
40話「凶悪の望郷」もやはりテレビドラマの黄金期の1970年代、テレビドラマ全体に名優がもっとも多く存在したコトが大きな鍵となっています。
<「凶悪の望郷」の鍵と扉 平成最後はテレビドラマに多大影響を与えているアノ男が大トリを飾る>の開店です。
前回記事⇒
国民的2大探偵 金田一耕助俳優&明智小五郎俳優の秘蔵師弟関係『非情のライセンス』第1シリーズ 40話 「凶悪の望郷」 主演 天知茂
40 「凶悪の望郷」
脚本=今村文人 監督=永野靖忠
<「凶悪の望郷」の全キャストクレジット表記順>
会田刑事=天知茂 竜巻太郎=左とん平 木村秋子、松井洋子=大川栄子 戸塚修=今井健二 沼本平吉=由利徹 歌手=内田あかり 上野=山岡徹也 桂=長谷川弘 岩田刑事=岩城力也 組員A=団厳 幹部=五野上力 大月優子 木村弓美 佐々木順子 今村昭信 松沢勇 松下昌司 鈴木義紀 擬斗=加賀麟太郎 マダム=星美智子 須藤=倉岡伸太朗 真中=加藤嘉 マダム=星美智子 須藤=倉岡伸太朗 真中=加藤嘉 松井良作=片岡千恵蔵(特別出演)
<「凶悪の望郷」の全キャストクレジット表記順と内訳>
会田刑事=天知茂(主演)
竜巻太郎=左とん平(準レギュラー)
木村秋子、松井洋子(二役)=大川栄子(この話の事実上のヒロイン的扱い)
戸塚修=今井健二 沼本平吉=由利徹 歌手=内田あかり 上野=山岡徹也 桂=長谷川弘
岩田刑事=岩城力也(準レギュラー) 組員A=団厳 幹部=五野上力
大月優子 木村弓美 佐々木順子 今村昭信 松沢勇 松下昌司 鈴木義紀(役名の表記なし)
擬斗=加賀麟太郎(現在だと擬闘表記が多い、もちろん擬斗なので出演はしていない)
マダム=星美智子 須藤=倉岡伸太朗
真中=加藤嘉(かなりの名優のため単独表記)
松井良作=片岡千恵蔵(特別出演) もちろん単独表記、中央画面に主演の会田刑事=天知茂よりも画面に大きく表示の大トリ
『
非情のライセンス』第1シリーズ 40話 「凶悪の望郷」はゲストの
片岡千恵蔵と縁がある俳優が多数出演しています。この部分がこの話数の大きな特色です。

TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) (2018-05-09)
売り上げランキング: 37,468
竜巻太郎=
左とん平 岩田刑事=
岩城力也の両名は『非情のライセンス』第1シリーズの準レギュラーです。この2人はあまり関係はありません。岩田刑事役の
岩城力也は脇役俳優として活動し、俳優人生でほぼ目立つ作品がない人物でしたが、この『非情のライセンス』はセリフや出番が明確に認識できる準レギュラーとして存在感を部分的に放ち、最大の代表作としています。この40話でも一場面を任せられている箇所があります。
左とん平は主に喜劇俳優として活動し、1970年に映画やドラマに多く出演の自身の全盛期、いくつかのヒット作に助演、ほぼ脇役で出演、この『非情のライセンス』シリーズにおける出演も彼の代表的な出演の一つで、作中の扱いや役割は喜劇要因、第2シリーズでは刑事役で登場します。
ゲストの片岡千恵蔵と縁がある俳優が多数出演が鍵 星美智子と倉岡伸太朗パート
星美智子は戦前から
片岡千恵蔵の”千恵蔵映画”の大ファンだったことを明かし、東映時代劇中心の1950年代から1960年代にかけてに活躍した東映中心のヒロインや助演の女優です。実姉の星玲子は戦前の1930年代に日活現代劇中心に活躍したスター女優で、日活時代劇映画1939年『自来也』、別題『忍術三妖傳』(時代劇特撮と妖術=忍術的、仇討ち、明朗の要素を組み合わせた千恵蔵と
マキノ雅弘のコンビの数多くある代表作の一つ)で片岡千恵蔵のヒロインを務めたことがあり、
星美智子はこの頃からのファンのようです。
*”千恵蔵映画”=実際に千恵プロ時代の膨大な映画群にこのクレジットあり
片岡千恵蔵を恩師の一人としている2018年に死去した名女優の赤木春恵は、NHKのラジオインタビューの中でお通(千恵蔵の宮本武蔵のヒロイン、戦中版宮本武蔵の監督は時代劇映画の大巨匠の伊藤大輔)との別れのことを話していましたが、この別れのシーンは
戦中の戦地へ死ににゆく男性を見送る女性の悲しみと連つけて、男女の別れが描かれました。片岡千恵蔵は戦前と戦中の大ヒット映画「宮本武蔵シリーズ」でも多くのファンを生んだようで、星美智子も視聴していたことでしょう。『非情のライセンス』第1シリーズ40話「凶悪の望郷」の星美智子の出演は、とあるバーのマダム役で千恵蔵の特に序盤のシーンに登場しています。
倉岡伸太朗(別名義・倉丘伸太朗)は片岡千恵蔵が目にかけていた俳優の一人とも言われています。彼は千恵蔵のテレビドラマ主演の代表作的なテレビ時代劇『軍兵衛目安箱』(1971)で黒田軍兵衛の部下役を演じ、共演しています。千恵蔵の演じた黒田軍兵衛は脚本の結束信二が軍師の黒田官兵衛(黒田孝高)をデフォルメしたキャラクターだと考えられます。結束信二は片岡千恵蔵の映画時代に多くの縁がある名脚本家の一人です。「凶悪の望郷」では千恵蔵演じる役柄の過去の事件と関与しており、師と後輩の2人の共演シーンが作られています。
ゲストの片岡千恵蔵と縁がある俳優が多数出演が鍵 今井健二 加藤嘉 再び左とん平パート
真中=加藤嘉は大映から東映で作られた「千恵蔵のギャングシリーズ」や「多羅尾伴内シリーズ」に多数助演し、個人的にも視聴していますが、刑事役を多く演じているなど、千恵蔵にかなり世話になった人物の一人です。大女優の山田五十鈴の最後の夫で映画の名優です。
今井健二(今井俊二)は片岡千恵蔵治世、天下の東映映画の後輩として、同期に高倉健、丘さとみなどの東映ニューフェイス第2期生としてデビュー、この時点で影響を受けていたということが言えるでしょう。千恵蔵の代表作だと「千恵蔵のギャングシリーズ」の名作『最後の顔役(1963)』と1963『ギャング忠臣蔵』に脇役で出演。
左とん平は関係ないと書きましたが、間接影響に関与しています。それは1969年の松竹映画『七つの顔の女』(岩下志麻主演)に出演しています。 『七つの顔の女』は片岡千恵蔵の現代劇映画の代表作シリーズの一つ「多羅尾伴内シリーズ」(別名「七つの顔の男シリーズ」の影響作の一つです。また、40話「凶悪の望郷」劇中のある場面で左とん平演ずる竜巻太郎が多羅尾伴内のことを話す場面が存在しており、印象に残る場面の一つといえるでしょう。
ゲストの片岡千恵蔵と縁がある俳優が多数出演が鍵 由利徹パート
由利徹は東宝の喜劇時代劇映画でも存在感を残した全般は喜劇俳優ですが、東宝喜劇時代劇は片岡千恵蔵が1930年代に旋風を起こしたナンセンス時代劇映画の影響受けています。
片岡千恵蔵の特に伊丹万作とのコンビ(当時のキネマ旬報ベストテンランクインや他のベストテン賞に多くがランクインするなどの高い評価や大影響)で1930年代中心に大当たりしたナンセンス時代劇、ナンセンス時代劇映画がありましたが、1938年にピー・シー・エル映画製作所(=略称はP.C.L.)を経て創立した東宝では、喜劇三大俳優の榎本健一や古川録波(古川ロッパ)、柳家金語楼が千恵蔵のナンセンス時代劇映画の影響を受けた東宝は喜劇時代劇、喜劇時代劇映画を形成、
戦後からは森繁久彌なども東宝喜劇時代劇で活躍、
由利徹も助演でいくつかの東宝喜劇時代劇映画に出演、森繁久彌も千恵蔵の影響(千恵蔵が形成したナンセンス時代劇の影響を受けた当方の喜劇時代劇映画でも活躍)を本人や自分の演技を見出した
マキノ雅弘(千恵蔵と
マキノ雅弘の特に戦前の名コンビの恩恵、その
マキノ雅弘の力で東宝「次郎長三国志シリーズ」の助演の森の石松が映画最初の当たり役、しかも森の石松は千恵蔵もハマリ役の一つにしている役)を通じて幅広く影響を受けています。
由利徹もこの頃にいくつかの東宝喜劇時代劇に出演を果たしている間接的な恩恵を受けています。
また、由利徹の東映出演作では千恵蔵の直属後輩の高倉健が主演した「網走番外地シリーズ」に多数助演し、間接的な影響を受けていたことになります。
ちなみに上記部分で登場させた伊丹万作つながりで少し逸れますが、千恵蔵がいなければ現在もマスコミが誇張して取り上げる伊丹十三もいませんでした。その影響は父の実積(千恵蔵×万作のコンビの大成功)が自分の映画製作と活動の路線に大きな影響を与えているからです。
ゲストの片岡千恵蔵と縁がある俳優が多数出演 開いた扉(=まとめ)
最後に前回、前々回の関連記事でも取り上げていますが、主演の会田刑事役の
天知茂も自分の活動や路線に影響を受けています。
そんなことで40話「凶悪の望郷」はゲストの片岡千恵蔵と縁がある俳優が多数出演していますし、表上はゲスト扱いですが、事実上の主演としても描かれています。これが凄く面白い部分です。2018年の最後の記事、平成最後の12月、やはり大トリにふさわしく、映画だけではなく、テレビドラマにも大きな影響を現代も数多く与えている超大俳優の片岡千恵蔵になりました。
映画ブログは
マキノ雅弘であり、わたくしチワワドラとしてはふさわしい記事の最後だと感じています。
裏記事の公開 2019.1.8 ↓刑事ドラマにつながるGメン映画のキズナアイの理由姉妹の映画ブログの新記事 やはり最後の最後はこのドラマ記事は千恵蔵、下記の映画は
マキノ雅弘の両大巨搭がお出ましだ
生誕110年天下大巨匠マキノ雅弘伝 浪人旋風影響に黒澤明 近衛十四郎 三船敏郎 阪東妻三郎
「多羅尾伴内」の七つの顔の男と「名探偵コナン」の安室透のトリプルフェイス まさかのパクリ疑惑
関 貞三
ワイズ出版
売り上げランキング: 1,048,129
片岡千恵蔵は時代劇中心映画俳優だからできる身のこなしと独自な整い美、製作者としての自己や映画のプロデュース力、突き抜けた個性を魅力的に見せるため複数要素をふんだんに詰め込んだ多彩さ、
世界中の他の誰にも真似できない独自な映画、”千恵蔵映画”が「多羅尾伴内シリーズ」でした。
アニメ映画「
名探偵コナン」の安室透(声・古谷徹)=トリプルフェイスの異名のキャラクター(役柄)は多羅尾伴内(俳優・片岡千恵蔵)=七つの顔の男(戦後直後から大ヒットした大映と東映の映画シリーズ)の異名から来ています。
名探偵コナンはほかにも数多くの元ネタがあるキャラクターが登場します。これまでも銭形平次やシャーロックホームズ、明智小五郎など多数の元ネタを持つキャラクターが登場、
そして今回は安室透のトリプルフェイス(三つの顔の男)、元ネタは名探偵の多羅尾伴内=「七つの顔の男」なのです。これは「
名探偵コナン」の原作者の青山剛昌の良い意味でのリスペクトであれば良いのですが、悪く言えば青山剛昌、日本テレビ、映画配給の東宝のパクリとも考えられてしまいます。
にほんブログ村
人気ブログランキングへ励みのポチヨロシク↑→
関連タグ :
非情のライセンス,
天知茂,
左とん平,
岩城力也,
星美智子,
今井健二,
由利徹,
名探偵コナン,
マキノ雅弘,
片岡千恵蔵,
- 関連記事
-