今回は”天皇の
渡辺邦男と
松本常保 映画とドラマと 時代と運命と”と題して展開していきます。テレビドラマ中心の映像制作会社の日本電波映画はその後、衰退の道をたどります。
関連の前回記事⇒
【テレビドラマ貢献】松本常保と映画の通産42作とテレビドラマ22作の謎
天皇の渡辺と松本 映画とドラマと 時代と運命と
映画の製作者時代から
渡辺邦男と縁があった
松本常保は映画の『
明治天皇と日露大戦争』をテレビドラマとして再映像化した『
明治天皇』を映画と同様に多額の費用で製作し、これに苦しんだといわれています。1966年の第1期はテレビ映画として製作していましたが、第2期は当時のNHKや他の放送局が製作していたドラマのように比較的に予算が安く済むVTR撮影で製作するという路線変更を余儀なくされましたが、最終的に折り合わず打ち切られました。
時間をさかのぼりますが、
渡辺邦男はテレビがあまり普及していない頃の1955年に
『エノケン ホームラン王』というテレビドラマの単発作品の監督をしていますが、このときは本格的なテレビドラマの参加はそませんでした。本格的な参加は1963年の
松本常保の日本電波映画のテレビドラマまで待つことになります。
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1948年に公開された新東宝とエノケンプロの制作による 『
エノケンのホームラン王』は大喜劇人&映画スター榎本健一の商品化されたエノケン×
渡辺邦男(監督)の名コンビの代表作の一つであり、サトウハチローが原作です。1955年に放送されたテレビドラマの
『エノケン ホームラン王』もこの映画の 『
エノケンのホームラン王』のリメイクの可能性が疑われます。
両雄のテレビドラマのために避けては通れない”映画の功績”
渡辺邦男と
松本常保はテレビドラマで関わりを持つ前の映画時代から縁がありました。そうです。
渡辺邦男と松本常保の関係に迫る前に渡辺邦男の映画の大まかな功績に光を当てることが大切だと考えています。テレビドラマのブログですが、彼の映画の功績を取上げることでいかに功績がある人物がテレビドラマに挑戦したのかを少しでも知っていただくためです。
渡辺邦男はテレビドラマに進出する前には、
娯楽映画の巨匠、
スター映画の巨匠、
早撮りの巨匠、
オールスター監督、
映画界の天皇などの異名を持っていました。当時、これだけの異名を持つ映画監督は彼だけでした。
渡辺邦男は日活映画の池田富保(戦前の最多オールスター監督数、娯楽時代劇の巨匠)の助監督を6作以上勤め、1928年に監督デビューし、通産で約230作、現存の縮濃版などを含めると240作ほどの映画作品を監督しました。しかもそのほとんどが長編映画です。
アメリカの映画監督はショートムービー(アメリカのサイレント時代に多い)を含めれば200作は何名か存在していますが、長編だけでは存在していません。代表作はいくつかの理由から東映のナンバーワン監督としても知られる
松田定次とほぼ近い100作、またはそれ以上の本数が存在しています。
松田定次については以前の記事にも書いています。
⇒
テレビドラマの松田定次、海江田譲二、松山容子 豪華3競演録実現など
いずれは映画ブログの方で機会を設けて大々的に取上げたいと思いますが、
松田定次と渡辺邦男の大きな違いの一つは戦前の代表作は渡辺邦男の方が多いところも挙げられるでしょう。また、小規模オールスターの本数は渡辺邦男の本数が上です。例えばオールスター映画は大と小があるという捉え方をすると大規模は
松田定次といえますが、小規模のオールスター映画は渡辺邦男が世界で歴代でトップの本数を監督しています。さらにテレビドラマでも200本(作数ではない)以上の監督をこなした大人物です。
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上記は現存題『忠臣蔵赤垣源蔵 討入り前夜』、公開時は『赤垣源蔵』の説も有り。渡辺邦男の師匠の池田富保は尾上松之助や山本嘉一、
阪東妻三郎や片岡千恵蔵、大河内傳次郎(左から映画デビュー順)の歴代大スターが出演した日活映画を二桁10作以上も残しており、5大スターだけでも50作以上にのぼります。これも池田富保の功績を語る上で大きな実積の一つです。
渡辺邦男 公開順の戦前から戦後の主な代表作
渡辺邦男の戦前の主な代表的作品群(表ブログバージョン)
『さくら音頭(日活版)』 五月潤子、市川春代、夏川大二郎 現代劇 マキノ正博と共同監督 大ヒットと記録有
「丹下左膳」4作(1933~1938) 大河内傳次郎 時代劇 日活オールスターは内1作
『検事とその妹』(1937) 岡譲二と原節子 現代劇
『源九郎義経』(1937) 長谷川一夫(源義経)と大河内傳次郎(武蔵坊弁慶) 時代劇
「白蘭の歌」前後篇(1939) 長谷川一夫 現代劇 東宝オールスター2部作 大ヒットと記録有
5 9(前後や他含む)
「熱砂の誓ひ」前後篇(1940) 長谷川一夫、李香蘭 現代劇
6 10
渡辺邦男の戦後の主な代表的作品群
『麗人』(1946) 原節子 現代劇
「誰か夢なき」前後篇(1947) 藤田進 現代劇 大ヒットと記録有
『エノケンのホームラン王』(1948) 榎本健一 現代劇
『向う三軒両隣り 白百合の巻』(1948) 柳家金語楼 現代劇 向う三軒両隣りの1作目
10 15
『続向う三軒両隣り スタコラ人生の巻』(1948) 柳家金語楼 現代劇 向う三軒両隣りの2作目
『いれずみ判官 桜花乱舞の巻』(1950) 片岡千恵蔵 時代劇 遠山の金さん1作目 東横オールスター
『いれずみ判官 落花対決の巻』(1950) 片岡千恵蔵 時代劇 遠山の金さん2作目 東横オールスター
『水戸黄門漫遊記 第一部 地獄の豪賊』(1952) 市川右太衛門 時代劇 東映オールスター
『水戸黄門漫遊記 第二部 伏魔殿の妖賊』(1952) 市川右太衛門 時代劇 東映オールスター
15 20
『飛びっちょ判官』(1952) 片岡千恵蔵 時代劇 遠山の金さん5作目 東映オールスター
『大菩薩峠』3部作(1953) 片岡千恵蔵 時代劇 東映オールスター3部作
『犬神家の謎 悪魔は踊る』(1954) 片岡千恵蔵 現代劇 片岡千恵蔵の金田一耕助5作目 東映オールスター *1
『はりきり社長』(1956) 森繁久彌 現代劇 森繁久彌の社長シリーズ3作目
『明治天皇と日露大戦争』(1957) 嵐寛寿郎 時代劇 新東宝大オールスター 超大ヒットと記録有
20 27
『ひばりの三役 競艶雪之丞変化』前後篇(1957) 美空ひばり 時代劇 新東宝中心オールスター 大ヒットと記録有
『忠臣蔵(1958)』 長谷川一夫 時代劇 大映大オールスター 超大ヒットと記録有
『銭形平次捕物控 夜のえんま帖』(1961) 長谷川一夫 時代劇 銭形平次捕物控17作目
『水戸黄門海を渡る』(1961) 長谷川一夫 時代劇
大手映像会社のKADOKAWA(大映映画の権利を持つ)は本当にハイスピードで商品化をしています。一方、東映はDVDの商品化があまり進んでいませんが大映作品は商品化が多い。渡辺邦男と長谷川一夫の10作を越す名コンビの晩年作『水戸黄門海を渡る』(1961)、この映画はもちろん豪華キャストですが、オールスターの判断はしていません。3大スター以外の出演俳優が弱めの作品だからです。
『ひばり民謡の旅 べらんめえ芸者佐渡へ行く』(1961) 美空ひばり 現代劇 べらんめえシリーズ7作目など *2
25 32
『べらんめえ芸者と大阪娘』 美空ひばり 現代劇 べらんめえシリーズ9作目など *3
『民謡の旅 桜島 おてもやん』 美空ひばり 現代劇 ひばりの民謡シリーズ3作目
『べらんめえ芸者と丁稚社長』(1963) 美空ひばり 現代劇 べらんめえシリーズ10作目 *4
『民謡の旅 秋田おばこ』(1963) 美空ひばり 現代劇 ひばりの民謡シリーズ4作目
『「明治の風雪」より 柔旋風』(1965) 倉丘伸太郎 現代劇
30 37
*1=片岡千恵蔵の金田一耕助5作目の『犬神家の謎 悪魔は踊る』は前後や総集編などを含めると10作目、再公開含めると13作目の説あり
*2=『ひばり民謡の旅 べらんめえ芸者佐渡へ行く』は、べらんめえ芸者シリーズ7作目、べらんめえ芸者シリーズ5作目、ひばりの民謡シリーズ1作目の3つに同時該当
*3=『べらんめえ芸者と大阪娘』は、べらんめえシリーズ9作目、べらんめえ芸者シリーズ6作目
*4=『べらんめえ芸者と丁稚社長』はべらんめえ芸者シリーズ10作目、べらんめえ芸者シリーズ7作目
上記の渡辺邦男の戦前から戦後にかけての作品群(表ブログバージョン)は厳選した代表的な部分のみを載せています。
下記のリンク先の裏ブログは他の映画タイトル(裏ブログバージョン)やこちらで公開できない要素も公開しています。
リンク⇒テレビドラマの形成に関与 大巨匠渡辺邦男の主な代表的作品群後日談=今回は膨大な情報量のため映画が中心になってしまいましたが、これは必要なことだと考えて断行させていただきました。ドラマブログなのに申し訳ないところです。この流れはへ続く
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