テレビドラマ黎明期列伝 徳川家斉を演じた大名優の暴かれる闘いの日々『
琴姫七変化』の部分をもう少し展開していきます。『
琴姫七変化』で主人公の琴姫の父の
徳川家斉を演じた
海江田譲二は、映画の主演スターや助演、脇役で230作の映画に出演し、現在以上に激しい競い合いの中で長期間にわたって活躍しました。日本のテレビドラマの形成や発展には多くの映画俳優が関与していますが、彼もその1人でした。
海江田譲二のテレビドラマへの出演数は少なかったわけですが、『
琴姫七変化』の大ヒット作への出演はテレビドラマの唯一の代表作といえるでしょう。
現在では取上げられる機会が激減しましたが、
海江田譲二は戦前から長期間にわたって活躍した映画ファンに有名な俳優です。テレビドラマの初期の貢献した人物でもあるため、映画時代のことを取上げてみようと思います。あくまでテレビドラマのブログであるが、反れていると考えられる部分もあると思いますが、あくまでテレビドラマの初期の功労者であるという面で目をつぶっていただければ幸いです。
国民的大作家の吉川英治やあの超大物作家の映画へ主演
1930年代前半から、日活の時代劇部門の俳優として活動をはじめ、15作以上の主演作を残し、中山安兵衛(のちの堀部安兵衛)役で『新釈高田の馬場』、
長谷川伸の有名な原作の『沓掛時次郎(1932)』、時代劇スター・沢田清とダブル主演した吉川英治原作の代表作の一つの「隠密七生記」の映画作『隠密七生記 静中動篇』と『隠密七生記 動中静篇』へ主演しました。吉川英治は映画化が通産で1位の205を越した日本でもっとも大衆的な大作家、
長谷川伸も日本の歴代上位の150作を越しています。
『隠密七生記』は戦後の最大の黄金期の東映で、東千代之介、中村錦之助、美空ひばりの主要キャスト、監督は巨匠の松田定次で再映画化されたことでも知られています。股旅もの作品の代名詞の一つ『沓掛時次郎』は、存命の
平岩弓枝や故人の村上元三、山手樹一郎などの師匠としても知られる大作家の
長谷川伸の作品群の中でも上位に含まれる代表作です。
歴代上位の大スター大河内と千恵蔵へ貢献 助演の活躍
また、1930年には大スター・大河内伝次郎が主演の名匠・辻吉郎によるオールスター『荒木又右衛門(1930)』にメインキャストの河合又五郎で出演、1931年は映画会社の
片岡千恵蔵プロダクションと日活で、のちの巨匠・稲垣浩の『男達ばやり』で大スター・
片岡千恵蔵の相手役を務め、1932年は大作家の子母澤寛のもっとも有名な股旅作『弥太郎笠 去来の巻』と『弥太郎笠 独歩の巻』では、
片岡千恵蔵(主演の弥太郎役)の昔馴染みの友人の桑山盛助を演じました。デビューから3年ほどで全国的に相手役やメインキャスト、助演として存在感を示しました。
*『男達ばやり』=読み・だてばやり
片岡千恵蔵の戦後の
新撰組映画の主演7作のうちの1作
『新選組鬼隊長』の貴重なパンフレット
裏側リンク⇒
海江田譲二の『平手造酒 新撰組 大岡政談』 そびえ立つ大都映画のトップスター・阿部九州男の影
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裕次郎や旭を生み出した人物と驚きのコラボレーション
1937年に東宝の関連会社の今井映画へ移籍し、『平手造酒(1937)』で『平手造酒 一刀流酒供養』(1933)以来の再び地獄の剣豪と称される平手造酒を主演で演じました。平手造酒は1910年代から数多くの映画スターが主演で演じてきた有名な役柄の一つです。
さらに清水次郎長にも登場する有名な役柄、吉良の仁吉役で『吉良の仁吉』へ主演、残念ながら清水次郎長を主演で演じることはありませんでした。この映画は後の日活の名映画プロデューサー、名企画者として知られる
児井英生(こい えいせい)が監督を務めています。
児井英生は監督から映画界へ飛び込んで、入江たか子と月形龍之介がダブル主演した東宝映画『白い壁画』から監督を退いて、現場以外の制作畑へ本格的に足を踏み入れました。
海江田譲二の『吉良の仁吉』の時の
児井英生は映画プロデューサーや企画者の活動に向かう前であり、今井映画の監督でした。
児井英生は戦後の日活で
石原裕次郎や
小林旭の映画スターとしての活躍へ貢献した人物として知られています。
児井 英生
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伝・日本映画の黄金時代石原裕次郎、
小林旭、吉永小百合、
石原裕次郎の上、
全体の右上の人物は果たして誰??
海江田の『雲霧仁左衛門 鼠小僧次郎吉 坂本竜馬 銭形平次 大岡越前守 堀部安兵衛』
1937年『雲霧仁左衛門 前篇』、『雲霧仁左衛門 後篇』、庶民のヒーロー・鼠小僧次郎吉の題材の『鼠小僧初鰹』に主演しました。雲霧仁左衛門は作家の池波正太郎で1972年から『週刊新潮』で連載される30年以上前の題材作でした。海江田は1938年に今井映画が松竹に買収されたことで、配給元の東宝へ移籍しました。
東宝時代は岡本綺堂の有名題材『相馬の金さん』が有名作でした。その後は1年も経たずに松竹へ移籍し、海江田譲二が坂本竜馬を演じた『坂本竜馬の妻』、野村胡堂の有名原作の『銭形平次捕物控』(1939)の2作へ主演しました。銭形平次を映画で演じた俳優は関操、嵐寛寿郎、小金井勝に次いで4人目が海江田譲二でした。1939年から坂東好太郎や高田浩吉などの松竹の生え抜きの大スターの助演が増えていき、海江田譲二の主演映画は1940年が最後となってしまいます。
その後も松竹の出演作が続き、助演俳優としての活動が全体となります。その頃の有名作は坂東好太郎と高田浩吉のダブル主演作『権三と助十』の3番手的な役柄で大岡越前守を演じた部分といえるでしょう。さらに1941年の巨匠・溝口健二の歌舞伎の演目を基にした真山青果の原作『元禄忠臣蔵 前篇』、1942年『元禄忠臣蔵 後篇』には出番はかなり少ないながらも堀部安兵衛を演じていました。堀部安兵衛は助演であっても有名な役柄であり、これもこれまでの映画スターとしての実積の末の大役でした。
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男装で赤穂浪士の特定の人物に別れを告げにやって来る、後半の鍵を握る”おみの役”は高峰三枝子です。右の写真の女性です。海江田譲二は堀部安兵衛で出演、商品化されているものが少なく悲しい現実があります。
こうした海江田譲二の映画時代の数々の有名な役柄や目上の大スターとの関わり、ライバルとの競い合いの長年の実積が、『
琴姫七変化』で演じた
徳川家斉役につながっていきました。
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