<丹下左膳の時代劇を手がけたテレビドラマに参加した映画の名匠たち>前回のことで監督のこともなんとなく知っていただくことも大切だと考えて監督のことも取り上げていきます。
下記の監督群の中で、
渡辺邦男は柔道ドラマ「
柔(1964)」など、マキノ雅弘は「長谷川伸シリーズ」など、
山本薩夫は「
天皇の世紀」など、三隅研次は”
必殺シリーズ”などのテレビドラマへの参加経験がありました。個人的にもこの15年ほどで見られるものはすべて眼を通しています。なので、
大河内伝次郎や
丹下左膳と大岡越前守だけではなく、テレビドラマにも関連が存在しています。また、
伊藤大輔は直接にテレビドラマの監督をした記録はありませんが、時代劇形成の功労者であり、テレビ時代劇への多大な影響があります。
柔道ドラマ「
柔(1964)」の主題歌は
美空ひばりの100万枚を記録した「柔」であり、その主題歌のドラマとしても知られています。当時ヒットしたドラマであり、現在も商品化されていません。個人的には「
柔(1964)」は10年ほど前にCS放送で視聴したことがあります。
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<7名匠・伊藤大輔、山中貞雄、渡辺邦男、山本薩夫、
中川信夫、マキノ雅弘、三隅研次>大河内伝次郎は通産で16度の”
丹下左膳”と同時に演じた7度の”大岡越前守”
作数、公開年 タイトル ・大河内の役名 監督
1、 1928 「新版大岡政談 第一篇」 ・
丹下左膳、大岡越前守① ・
伊藤大輔2、 1928 「新版大岡政談 第二篇」 ・
丹下左膳、大岡越前守② ・
伊藤大輔3、 1928 「新版大岡政談 第三篇 解決篇」 ・
丹下左膳、大岡越前守③ ・
伊藤大輔4、 1933 「丹下左膳 第一篇 丹下左膳」 ・丹下左膳 ・
伊藤大輔5、 1934 「丹下左膳 剣戟の巻」 ・丹下左膳、大岡越前守④ ・伊藤大輔
6、 1935 「丹下左膳余話 百万両の壺」 ・丹下左膳 ・
山中貞雄7、 1936 「丹下左膳 日光の巻」 ・丹下左膳、大岡越前守⑤ ・
渡辺邦男8、1937 「丹下左膳 愛憎魔剣篇」 ・丹下左膳、大岡越前守⑥ ・
渡辺邦男9、1937 「丹下左膳 完結咆吼篇」 ・丹下左膳、大岡越前守⑦ ・
渡辺邦男10、1938 「新篇 丹下左膳 妖刀篇」 ・丹下左膳、千葉周作 ・
渡辺邦男11、1939 「新篇 丹下左膳 隻手篇」 ・丹下左膳、千葉周作 ・
山本薩夫12、1939 「新篇 丹下左膳 隻眼の巻」 ・丹下左膳 ・
中川信夫13、1940 「新篇 丹下左膳 恋車の巻」 ・丹下左膳 ・中川信夫
14、1953 「丹下左膳(1953)」 ・丹下左膳 ・
マキノ雅弘15、1953 「続丹下左膳」 ・丹下左膳 ・マキノ雅弘
16、1954 「丹下左膳 こけ猿の壺」 ・丹下左膳 ・
三隅研次*
伊藤大輔大河内が1926~1950年の24年間で、復元版など足すと31作34編でコンビ、
大河内が主演俳優時代にもっともコンビを組んだ監督。脚本家としても代表作が多数
世界歴代で唯一の一般映画で監督数100、脚本数200作へ到達。反骨、傾向映画の形成など、
それまでの剣戟映画から物語の定着や移動撮影などを確立させた中心人物として、時代劇の父。
*
山中貞雄大河内が11作でコンビ、脚本が高く評価され、監督としても才能が認められていたが
戦地で死去、将来の巨匠と期待されていた。丹下左膳のほかでも
大河内と「盤嶽の一生」や「鼠小僧次郎吉」などでもコンビを組む。
*
渡辺邦男伝説的早撮りの大名手、娯楽の巨匠などといわれ、多くの映画スター俳優と関わる。
大河内を含む、歴代で唯一の片岡千恵蔵や長谷川一夫、市川右太衛門、
美空ひばり、榎本健一、岡譲二の7大スターと10作以上のコンビを形成、
スマシュヒットを量産、大ヒットも有。戦後だけで143作の映画を監督、
世界最多の一般映画の監督数を達成(比べると黒澤明は28作、山田洋次が85作ほど)
*
山本薩夫戦争や社会派映画の名手といわれ、戦争に関連した映画を多く残す。
「新篇 丹下左膳 隻手篇」(1939)は山本にとって時代劇映画の初監督作であり、
のちの市川雷蔵の「忍びの者シリーズ」(1962、63)の最初の2作へ、
この丹下左膳の監督経験が活かされていると考えられます。
*
中川信夫新東宝で有名な怪談映画を数作手がけたことから、和製ホラーの形成者的存在、
100作ほどの映画を手がけた。日本のホラー映画に大きな影響を与えています。
・
マキノ雅弘通産監督数270作は戦前と戦後を通じて活躍した監督としては世界で圧倒的トップ、
戦後の一般映画の監督数は渡辺邦男に次ぐ、世界で2位、通産は世界歴代3位の監督数
時代劇6大スターをはじめ、戦前と戦後を通じて数十名の数多くの映画スターに関与や貢献。
戦前は片岡千恵蔵と1930~40年代に名コンビを形成で多彩な代表作、他にも大きな活躍。
戦後は森繁久弥、鶴田浩二、中村錦之助(萬屋錦之介)、高倉健、藤純子(現・富司純子)などの
飛躍や俳優形成に大きく貢献、戦前、戦後の生涯通して数十のヒット作を残す。
*
三隅研次市川雷蔵「眠狂四郎」シリーズ、「大菩薩峠」3部作、「剣 」3部作 、勝新太郎「座頭市」シリーズ、若山富三郎「子連れ狼」シリーズへ参加、コンビを組み、1950年代から1970年代にかけて、3名と代表作を5作以上残す。監督数は70作弱だが大映の時代劇映画の代表的な名手。剣 3部作の2作目は現代劇です。
<大河内伝次郎の丹下左膳で初時代劇映画を手がけた山本薩夫の「天皇の世紀」>大河内伝次郎の1939年「新篇 丹下左膳 隻手篇」を手がけた
山本薩夫は、のちの1971年に連続ドラマ「
天皇の世紀」の作品にとってもっとも重要な1話の監督を務めます。ドキュメンタリー路線のテレビドラマとしてはドラマ史に残る作品となりました。原作は大佛次郎(現表記・大仏次郎)の歴史随筆・時代小説。
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山本薩夫は1話「黒船渡来」を担当、社会的空調がきちんと定着した重厚感が漂う1話でした。ドキュメンタリー要素も強く、ドラマファンは見る価値がある作品です。山本薩夫の他の監督には今井正、蔵原惟繕、三隅研次、篠田正浩、佐藤純彌、吉村公三郎と名匠7名が集結した、
現在では実現不可能な豪華な監督陣でした。ギャラクシー賞も受賞した名作でもあり、全話数を通した名優・滝沢修によるナレーションが秀逸でした。
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ようやく公開しました。坂本龍馬や近藤勇などの有名題材に挑んだ傷だらけの阪東妻三郎「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、「ゴジラ」のシリーズ路線確立と嵐寛寿郎
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