今回は約1年前の2018年9月25日に公開した
新撰組テレビドラマ珍々競演 3名製作者 3役映画巨匠の分岐点に戻って、異なる方向で展開していきます。
その記事では佐伯清と
鶴田浩二のテレビドラマにおける関りを取り上げていました。
前回記事⇒
伝説力士の雷電為右衛門から関八州のスーパーヒーロー国定忠治 名製作者と重なる父子鷹稀代の最大ライバル鶴田浩二と三船敏郎の数字における差の現実 映画からテレビへ
鶴田浩二は日本映画を代表するスター俳優の一人、戦後を代表する映画スターの一人で通産主演映画数は170本弱、出演映画数260本ほどを記録しています。戦後のみの主演映画本数は歴代1位を記録、ほぼ同期デビューの年齢も近いライバルの
三船敏郎の通産主演数が80本弱(戦後のみの20位近く)、映画出演数150作弱のため、2倍ほどの主演本数や代表作本数の差、出演数も110本強の差を記録しました。もちろん数字や記録だけで評価の全てが決まるわけではありませんが、これは明確な評価の対象となります。
ヒットや中ヒット本数自体は鶴田のほうがダントツに多いが、年間1位のような大ヒットのみは
三船敏郎のほうが多い、通産の観客動員は鶴田のほうが完全に凌駕しています。この2人の関係は非常に不思議です。
互いに主演10本を越えるような大きな当たり役はありませんでしたが、
三船敏郎は5作以上のシリーズさえゼロ、具体的に代表的な主演の役だと
宮本武蔵3部作の
宮本武蔵の3本が最多(三船の助演含む
宮本武蔵役は『佐々木小次郎』(監督・稲垣浩)の総集編もあるため通算5度、千恵蔵、錦之助に次ぐ歴代3位)、
鶴田浩二は「博徒シリーズ」と「博奕打ちシリーズ」と2つの10作を越すシリーズ、役柄は「人生劇場シリーズ」の主演の飛車角と
清水次郎長の4度が最多に恵まれました。
三船敏郎と
鶴田浩二はテレビドラマでもある程度の活躍をしました。
三船敏郎の出演のテレビ代表作はほぼ時代劇でしたが、
鶴田浩二は取り上げると長くなるわけですが、時代劇と現代劇の幅広い題材やテーマのテレビドラマに出演しました。
新選組[東宝DVD名作セレクション]三船敏郎の主演で観客動員1位を獲得した1969年の
新選組題材の東宝オールスター映画『
新選組(1969)』です。製作は三船敏郎と巨匠で稲垣浩の盟友が同時に名を連ねている部分がポイントです。
巨匠・沢島忠の唯一の年間観客動員1位です。1位といっても残念ながらこの映画のときの日本映画事態は低迷期に入っているため、動員人数はかなり少なめです。10年以上前に作られてヒットしている1950年代の千恵蔵の最大ヒットの
新選組1作のほうが観客動員は上だったと考えられます。俳優陣もいうまでもありませんが千恵蔵側のほうが格上です。
さらに『
新選組(1969)』はオールスターといっても主演100作の映画の真の大スターは中村錦之助のみでした。映画主演50以上は主演順だと110作の中村錦之助、70本台の小林桂樹、三國連太郎、三船敏郎のみの4名に留まる、舞台だと名優の中村翫右衛門、その息子で映画との縁は薄いのテレビで活躍した中村梅之助、2019時点で現役の名優の中村嘉葎雄(中村賀津雄)や北大路欣也、司葉子もいますが、全体は映画スターとしてある程度、小粒の俳優が多いというのが現実です。
鶴田浩二が新撰組のテレビドラマに出演した理由には、ライバル三船敏郎でヒットした『新選組(1969)』も影響していたのかもしれません。
『新選組(1973)』と近藤勇 ラスト前の衝撃 事実上の打ち切りと削減
個人的に鶴田浩二の現在も視聴可能なテレビ時代劇の中では、この『新選組(1973)』(全19回)がもっとも好きかもしれません。上記の記事冒頭のリンク先の記事もありますが、東映とNETによるテレビ時代劇の『次郎長三国志(1974)』(全23回)も気になる作品で、これは残念ながら再放送されていません。なのでこの『次郎長三国志(1974)』が『新選組(1973)』と比べてどれほどの出来であるのか気になるところです。
年数的にもお分かりだと思いますが、『新選組(1973)』の後に『次郎長三国志(1974)』が作られ、両方とも戦前から戦後と数多くの映画が作られてきた歴史と伝統のある国民的な有名題材であり、『新選組(1973)』(全19回)と少なめでしたが、この2本ともいわゆる半年ほどの連続ドラマの2クールで作られています。鶴田浩二の通産実積というとやはり映画時代の部分が9割ほどだと個人的に考えていますが、テレビドラマにおいても絶大な信頼があったということになります。
全19話が残されており、個人的にはラスト前の18話の印象が強く、田村高廣(田村高広)の演じる京都会津の上役と鶴田浩二の
近藤勇とある理由から無言の対峙、上役の部下の島田順司と共に印象に残る終盤の流れが濃厚で熾烈、複雑さと運命が強烈でした。侠客、任侠ものを経た独自な鶴田流の男らしさの体現が、このドラマの
近藤勇なのではないでしょうか。
観ていない方は気になる部分ですが、今後再放送されることがあるかもしれないCS放送を観て頂きたいところです。
最初から全19話の予定で作られていたことではなさそうです。『新選組(1973)』の評判はそこそこでしたが、やはり視聴率が低く、当初は完全な2クールの26話前後を予定していたと考えられますが、事実上の打ち切り的にエピソードの幾つかは省かれ、話数を減らして19話で終了したと考えるのが普通でしょう。評判はそこそこでも、当時は今以上に視聴率に厳しく、現代はたった数パーセントのアニメが数十年も続く非常事態、当時はばっさりの打ち切りや打ち切り的に話数を減らして完結というケースも多数ありました。そのためでしょうか、最終回の最後のシーンはちょっと違和感を感じるように感じるような場面で終了しています。
ラスト前18話と最終回19話は大映映画の母物シリーズなどで知られる名女優の
三益愛子のおばあさん役が出ていた印象に残ります。シーンとは上手く絡んでいるとはいけませんでしたが、存在感は突き抜けたものがあります。
全体を通すと
近藤勇の鶴田浩二、土方歳三の栗塚旭(東映の連続テレビドラマで3度目の土方歳三)、沖田総司の有川博の主要の上位3名の全話出演も印象的です。
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いわゆる大映の母物シリーズ、
三益愛子は世界の歴代女優で最多の30作を越す単一シリーズの主演数を記録しました。
三益愛子版が当たり、東映などの外部や大映内部でも別の母物の派生作が数多く作られました。『巣鴨の母』は
三益愛子主演シリーズの1本です。テレビや映画の泣きじゃくり演技は彼女の悲哀の代名詞でお家芸です。
新選組 鶴田浩二 三船敏郎 片岡千恵蔵 三益愛子 近藤勇 清水次郎長 遠山の金さん 沢村訥升 宮本武蔵 母物シリーズ鶴田浩二と千恵蔵御大 日本映画最大の黄金期が影響した新撰組の主演のミステリー
テレビドラマにも関わることなのでそこそこな量になってしまいましたが、映画のことも触れます。鶴田浩二は下記の全時代劇映画出演数を見ていただくと直ぐにわかると思いますが、新選組題材は主演も出演の両方が1作もありませんでした。
新選組題材といえば映画スターで東映時代の大先輩である千恵蔵御大こと
片岡千恵蔵は、1950年代から1960年代にかけての日本映画黄金期に歴代最多の7作の映画に主演しています。事実上のこの題材を国民的な題材にするために大きく貢献、観客動員ベスト10はありませんが、500万人でも年間ベスト10に入らないもっとも高い競争力の時期、通算7作でかなりの総観客動員を記録したと考えられていますこの影響を鶴田浩二がテレビドラマで受けていると考えられます。
鶴田浩二の全時代劇映画出演数 出演45 主演26 助演19
時代劇の主演と(脇も含む助演のトータル 確認できるもののみ 鶴田は有名な役のみを表記
脇役1948『遊侠の群れ』 松竹(京都) 主演=長谷川一夫 天保水滸伝題材、遠山の金さん要素 8番低下脇役
助演1949『影法師 寛永坂の決闘』 松竹(京都) 主演=阪東妻三郎 6番手 寿々喜多呂九平から派生の影法師物
助演1950『続影法師 龍虎相搏つ』 松竹(京都) 主演=阪東妻三郎 6番手 別題に『影法師(1950)』 ともある
助演1950『悲恋草』 松竹(京都) 主演=水谷八重子(舞台大女優)、阪東寿三郎(歌舞伎大名優) 文芸 別『悲恋華』
主演1951『怪塔伝』 松竹(京都) 鶴田の時代劇唯一の3役、侍物
主演1952『弥太郎笠 前後篇』 新東宝=新生プロ りゃんこの弥太郎 股旅
助演1953『花の生涯 彦根篇 江戸篇』 松竹(京都) 主演=松本幸四郎(初代松本白鸚) 、幕末物
主演1954『やくざ囃子』 東京映画=滝村プロ(配給は東宝) 股旅
主演1954『此村大吉(1954)』 大映(京都) 此村大吉 今は知名度が落ちている有名な此村大吉題材
助演1954『忠臣蔵 花の巻、雪の巻』(忠臣蔵(1954)) 松竹(京都) 毛利小平太 主演=松本幸四郎、高田浩吉
10
主演1955『獄門帳』 松竹(京都) 文芸的
助演1955『続宮本武蔵 一乗寺決闘』 東宝 佐々木小次郎 主演=三船敏郎
助演1955『応仁絵巻 吉野の盗族』 松竹(京都) 主演=高田浩吉
主演1956『あばれ行燈(1956)』 新東宝 股旅
助演1956『宮本武蔵 完結篇 決闘巌流島』(決闘巌流島) 東宝 佐々木小次郎 主演=三船敏郎
主演1956『眠狂四郎無頼控』 東宝 眠狂四郎(初代) 眠狂四郎の初の映像化
主演1957『眠狂四郎無頼控 第二話 円月殺法』 東宝 眠狂四郎
主演1957『柳生武芸帳(1957)』 東宝 三船敏郎とダブル主演 柳生もの柳生武芸帳
主演1957『おしどり喧嘩笠』 新芸術プロ(配給は東宝) 美空ひばりがヒロイン 股旅 ☆通産時代劇映画主演10
主演1957『地獄花』 大映(京都) 文芸的
20
主演1958『柳生武芸帳 双龍秘剣』 東宝 三船敏郎とダブル主演 柳生もの柳生武芸帳
助演1958『忠臣蔵(1958)』 大映(京都) 岡野金右衛門 事実上の出番は劇中2番手 主演=長谷川一夫 助演のみ10
主演1958『天竜しぶき笠』 大映(京都) 股旅
助演1958『天保水滸伝(1958)』 松竹(京都) 平手造酒 主演=高田浩吉 天保水滸伝題材
主演1958『旅姿鼠小僧』 東宝 鼠小僧次郎吉
主演1959『戦国群盗伝(1959)』 東宝 三船敏郎とダブル主演
主演1958『眠狂四郎無頼控 魔剣地獄』 東宝 眠狂四郎 3作の完結編
助演1958『弥次喜多道中記夫婦篇 弥次喜多道中双六』(弥次喜多道中記) 東宝
助演1959『森の石松幽霊道中』 宝塚映画(東宝の配給) 追分三五郎(2番手) 主演=加東大介
助演1959『暴れん坊森の石松』 宝塚映画(東宝の配給) 追分三五郎(2番手) 主演=加東大介
30
助演1959『日本誕生』 東宝 主演=三船敏郎 紀元前舞台
助演1960『半七捕物帖 三つの謎』 東映(京都) 主演=片岡千恵蔵
助演1960『森の石松鬼より怖い』 東映(京都) 小松村七五郎 主演=中村錦之助 時代劇と現代劇のミックス
主演1960『狐剣は折れず 月影一刀流』 東映(京都)
主演1961『鳴門秘帖(1961)』 東映(京都) 法月弦之丞
主演1961『鳴門秘帖 完結篇』 東映(京都) 法月弦之丞
主演1961『白馬城の花嫁』 東映(京都) 美空ひばりとダブル主演 ☆通産時代劇映画主演20 明朗歌謡物
主演1961『幽霊島の掟』 東映(京都) 主演=大川橋蔵 両御大なしのオールスター
助演1962『さくら判官』 東映(京都) 2番手的役柄 主演=片岡千恵蔵 遠山の金さんシリーズ
主演1963『次郎長三国志(1963)』 東映(京都) 清水次郎長
40
主演1963『続・次郎長三国志』 東映(京都) 清水次郎長
主演1964『次郎長三国志 第三部』 東映(京都) 清水次郎長
主演1965『いれずみ判官』 東映(京都) 遠山金四郎(遠山の金さん)
主演1965『次郎長三国志 甲州路殴り込み』 東映(京都) 清水次郎長 4作目の完結編 ☆通産時代劇映画主演26
助演1969『賞金稼ぎ(1969)』 東映(京都) 徳川家重 主演=若山富三郎 助演のみ19
45
*ここではしていませんが『影法師(1950)』 を1本扱いとする場合は助演と出連数が1本増えます。さらに『森の石松鬼より怖い』は千恵蔵×マキノ雅弘の黄金コンビ名作の『続清水港』のリメイクで、小松村七五郎は(劇中では小松村の七五郎)ですが、小松村七五郎が多く、森の石松の地元の兄貴分で作中の重要な役柄です。今では映像化が減少し、あまり知られていませんが、小松村七五郎は歴代の多くの名優が演じている有名な役柄です。
鶴田浩二は戦後のみとした場合の主演スターとしては日本映画でもっとも映画に出演しました。戦前含むと300作以上に主演スターで出演した
片岡千恵蔵や市川右太衛門、長谷川一夫がベスト3で上位、ここでは嵐寛寿郎は助演と脇役メイン時代が膨大110本を越すので上に含んでいません。
鶴田浩二の260作ほどの映画出演で、215作の(時代物の江戸時代以降を含む)現代劇、45作の時代劇映画に出演、26作の主演で助演は19作でした。一世を風靡した1960年代から1970年代前半の東映時代は主に任侠物、やくざ物、戦争物、1940年代後半から50年代前半の初期の松竹時代は若者や青春物にも主演出演しました。現代劇映画のほうがメインとはなりますが、時代劇でも十分に大活躍しました。
鶴田浩二は大先輩俳優、大先輩の映画スターでもあるわけですが長谷川一夫の1948『遊侠の群れ』 で初めて時代劇映画に出演しました。その次に阪東妻三郎とも共演、時代劇を学び、俳優としての幅を大きく広げることになったといえるでしょう。その後、現実の師といわれる高田浩吉、ライバルの三船敏郎と共演やダブル主演、美空ひばりなどと共演、
実は
片岡千恵蔵に次ぐ、御大ともいわれた市川右太衛門との共演の時代劇映画は1作もありませんでした。これは以外といえば以外かもしれません。映画やドラマファンとしては見たい共演でした。忠臣蔵、清水次郎長、遠山金四郎、股旅物、宮本武蔵、眠狂四郎、鼠小僧次郎吉、鳴門秘帖、天保水滸伝、いわゆる柳生物など幅広くの有名題材出演、主演の大活躍しました。
『新選組(1973)』(東映の製作)は、東映映画時代の大先輩の片岡千恵蔵が歴代最多の7作の映画に主演、定着させたことも大きく影響していると考えられ、鶴田浩二という大スターがいまだ有名題材に大スターが出演、主演していないことからテレビドラマの制作につながりました。東映つながりでもあるわけです。

『半七捕物帖 三つの謎』は片岡千恵蔵と鶴田浩二の時代劇の初共演作にして、半七捕物帖題材の捕物時代劇映画です。三大スター片岡千恵蔵(主演の半七役、現代劇でいうと刑事の職務)、鶴田浩二(主要)、東千代之介(主要)は直ぐにわかる方が多いと思いますが、4人目(主要)は誰でしょうか。
4人目は
沢村訥升(さわむらとっしょう)のちの歌舞伎俳優の九代澤村宗十郎です。彼は俳優の勉強に一時的に東映映画の時代劇スターとして活動していました。約3年後に歌舞伎俳優の専門に戻りました。この映画のプロデューサーは玉木潤一郎、監督は巨匠佐々木康です。
鶴田版の『新選組(1973)』が作られる流れには、有名題材がまだという理由、大先輩の新選組映画7作による題材の通産最多観客動員、さらに最大のライバルのヒットの存在がありました。
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